考え方

ゴミを拾うサポーターとゴミを生み出すサポーターは違う人々なのか【サッカーW杯2018】

先日、この記事を読んだ。

https://saorigraph.net/worldcup-russia/

詳しくは直接読んでほしいが、要約すると、「全席指定席にも関わらず、一部の日本サポーターが(おそらく自分の知り合いと近いところで見たいがために)勝手に席を陣取っていた」ということで、一部の方々の観戦マナーに疑問を呈している。

私も、この記事を書かれた方が観戦した日本対セネガル戦を見た一人である。

そして、この方のように、一部の方に違和感を感じたうちの一人である。

ワールドカップ観戦は死ぬまでにやりたいことのうちの一つだったし、念願叶って手に汗を握る試合を見ることができて、楽しい思い出として処理してしまおうとも思ったが、上記の記事を読んでやっぱり私自身も自分が感じた違和感を素直に残しておきたいと考えたので書くことにした。

用途も知らされず配られる大きなポリ袋

私たちの席は、ゴール裏前から3列目の非常に恵まれた場所だった。

一般的にサッカーのゴール裏は、特に熱心なサポーターが集まりやすい場所である。

私たちはキックオフ1時間半くらいに会場入りした。

キックオフの時間が迫るにつれて、観戦客が集まってきて高揚感が高まっていく中、日本代表ユニを着た男性が、大きな紙袋から何かを取り出して「1人1枚とって横に回してください!」と言って渡してきた。

見るとそれは、青いゴミ袋だった。おそらく40Lか50Lくらいの、かなり大きいサイズ。

まさしくこんな感じの。

ここで、これは何のための袋なのか聞くべきだった。あとからそう反省している。

報道で見る日本サポーター

https://www.football-zone.net/archives/113701

日本代表の活躍とともに、日本サポーターが観戦後にゴミ拾いをして帰る姿が報道されていた。

そのため、「ああ、ゴミ拾いの報道の裏には、こういうことしている人がいるのか」と勝手に解釈して、袋を受け取った。

それにしてもこんな大きいゴミ袋がいるのか?という疑問は残った。

空気を入れて振り始める人々

主にホームゴール裏を中心に、青いゴミ袋が配られた。

受け取った方の一部が、空気を入れて風船状にして、それを高く掲げ始めた。

幸い私近くの方々はそういうことはしていなかったが、あんなことを試合中にやられたら、前後の人はたまったもんじゃないと思った。

何しろ大きい袋なので視界が遮られるし、あんな調子で振ってたら周りに当たってしまう。

回収にくるスタッフと抵抗するサポーター

怪訝な気持ちで揺れる青いゴミ袋を見ていると、会場のスタッフが「No!」と言いながら回収に来た。

青い袋は中身が見えないし、周りに当たるし、危険だと判断されたのだろう。

袋を持ってる人は回収するから出すようにと指示をされて、スタッフに渡した。

ただでさえ、大勢の人が集まる場所を仕切るのにさらに仕事を増やしてしまって申し訳なく思った。

すると、斜め後ろにいた女性の日本サポーターが「何で袋を回収するの!これはゴミを入れるためのもの!なんも問題ないじゃない!」と英語でスタッフに抗議していた。

こういう大勢の人が集まる場では、運営側の指示に従うというのは大原則ではないのだろうか?

やり取りを聞いていて、かなりイライラして来て、そう声をかけようか本気で迷ったがやめてしまった。

結局、その人は袋を渡していたと思う。

しばらくして、さっき袋を配りに来た男性がまたやって来た。

また袋を配りに来たのである。

「さっきスタッフの方からダメだって言われて回収されましたけど?」と返すと、「交渉して大丈夫になりました!でもキックオフまでは隠していてください!」とのこと。

「隠す」という彼の発言から、本当に交渉したのかどうかどうにも信用できず、受取りを拒否していると、勝手に数枚置いていかれてしまった。

その袋は、またスタッフに回収されることになる。

ゴミを拾うサポーターとゴミを生み出すサポーターは違う人々なのか?

ここでタイトルの問いに戻る。

前提として、私は袋を配っていた彼に、その袋の用途を聞けていない。

しかし仮にこの袋が、近くにいた女性サポーターが主張するようにゴミを集めるためのものだったとしよう。

一度だけならまだしも、二度も袋を配りに来て、その度にスタッフが回収していった。

彼(および彼と一緒に袋を配っていた人たち)は、ゴミを回収する人だったのか、それとも会場でゴミを出した人たちだったのか。

自分で出したゴミはそれぞれゴミ箱まで持っていくか持ち帰るかすれば、そもそも観戦後に躍起になってゴミ拾いをする必要はない。

自分だけではなく、周りにその範囲を広げても、40L以上の容積の袋を袋をもらった全員がいっぱいにできるほどのゴミは集まらないと思う。

40Lの大きな袋を配ることで一人(一袋)が回収できるゴミの量と、スタッフの制止を振り切ったことで結果使われることなく回収されたゴミ袋とでは、明らかに後者の方が多いのではないか。

まとめ

ゴミ袋を配っていた人たちが、どのような考えから配っていたのかは知ることができない。

環境美化が目的なのであれば、一度目に止められて配布したゴミ袋を回収されたときに行動を改めるべきだったのではないかと思う。

袋がなくても周りに落ちているゴミを拾うくらいはできる。

日本サポーターとしてゴミ拾いをして欲しいのであれば、「観戦後のゴミ拾いにご協力お願いいたします」と呼びかけるだけでよかったのではないか。

一度は受け取った私も、無駄にゴミを増やし、スタッフの仕事を増やしたうちの一人である。

二度目は受取りを拒んだが、無理やり置いて行ってしまうのは、彼の中で勝手に決められたルールを押し付けられた気がして非常に不愉快だった。

そして、個人の中で決められたルールをスタッフに食い下がってでも押し通そうとするのは、果たして「賞賛されるサポーター」なのだろうか?

実は、最初に紹介した記事の執筆者が指摘する、席陣取り問題は、幸い自分には起こらなかったが、それで困っている人は見かけた。

席陣取り問題とあわせて、別の面でも一部サポーターの態度に疑問を持ったが、言いたいことは同じである。

集団で席を守らずに場所を陣取ったり、NGと言われている応援グッズを使用したり、座席の上に立ち上がったり、会場スタッフの注意を無視したりと、ルールやマナーを守らない観戦は一度考え直してほしい。

サオタビ!【2018ロシアW杯】現地観戦して疑問に思ったサポーターの行動より引用

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