本当に生きるということは 、寛大で礼儀正しい心を持ち 、世界に関心を向け 、自分の人生の中に人工的に作られた壁から自由になることだ 。
本書より引用
著者について
この本の著者であるスコット・ジュレクは動物性たんぱく質を摂らない完全菜食主義者(ヴィーガン)であり、ウルトラマラソンランナーでもあります。
ウルトラマラソンとは、フルマラソン(42.195km)以上のレースのことを指します。
大量のエネルギーを必要とする長距離走をヴィーガンの人が走れるなんて!と驚き本書を手に取りました。
長距離と人生
本書の中では、著者がレース中に極限状態で悟った「人生とは?」という問いに対する答えのかけらが随所に散りばめられています。
走るときのヒントが得られればいいなと思い読み始めましたが、ランニングに直接役に立つノウハウよりもむしろ著者の人生観に関する記述が多いです。
ノウハウ本ではないランニングの本。
というより、生き方の本と言ったほうが正しいかもしれません。
ウルトラマラソンはまだ走ったことはないですが、私も一応フルマラソンランナーです。
長い距離を走っていると、雑多なことが考えられなくなります。
深いところに思考が潜っていくような、頭が真っ白になるような、いわば瞑想しているような気分になります。
長距離の醍醐味は自己との対話であり自然との対話であるという著者の主張に大いに同意します。
困難を乗り越える思考
ウルトラマラソンとなると、予期せぬアクシデントが起こります。
このへんもいつなにが起こるか分からない人生そのものですね。
レース中だけでなく、著者がなにか困難にぶつかったときは次のような思考法で落ち着きを取り戻すそうです。
- 不安を抑え込まず、受け入れる
- 現状を見積もる
- 状況改善のために何ができるか考える
- 悲観的な感情を目の前の問題から切り離す
1.不安を抑え込まず、受け入れる
何かが起こったときに、感情が揺さぶられるのは仕方がありません。
まずは自分の感情を認めて、自分は今悲しい、つらい、悔しい、怖い…どう感じているのかを受け止めます。
2.現状を見積もる
自分の感情を受け入れた後は、問題の現状把握に努めます。
何がどれだけあるのか?ないのか?
どれほど緊急性が高いのか?
事実を細かく分析します。
3.状況改善のために何ができるか考える
事実を把握したら、今度は自分がその事実に対して可能なアプローチを考えます。
アプローチが複数考えられる場合は、それぞれの長所短所も冷静に分析します。
4.悲観的な感情を目の前の問題から切り離す
最後は、最初に抱いた悲観的な感情を問題から切り離します。
悲観的な感情によって動けなくなってしまうことを避けるのです。
ステップ3で考えたアプローチを試すのが、そのときの自分にできるベストなのです。
不安に足をすくませて立ちつくすことではありません。
こんな人にオススメ
- ランニングに興味がある人
- 余計なものを持ちすぎている人
- ベジタリアンに興味がある人
ランニングによって、身体的な無駄が減るのはもちろん、思考がシンプルになります。
ランニングとミニマリズムって、すごく相性がいい気がします。
著者は体に良いものだけを食べるという考え方からベジタリアンになっており、ベジタリアンの食事を実践するかはさておき、この点でもミニマリズムに通じるものがあります。
美味しそうなベジタリアンレシピがたくさん載っているので、料理が好きな方は是非試してみてください^^